この記事は『エロい本棚アドベントカレンダー2022』の14日目です。
あるときふと本が、こちらに「見ろ」と言ってくることがある。
またあるときは、何も言われないのにこちらが勝手に見ていることがある。
基本。そして原初の姿勢。本そのものを正面から捉えた姿。紙とインクと糸による、人々の意図の集合体である本。こんなにエロいものをどうして人類は作ることができるのか。私は基本的に無神論者だが(※)、私がもし神の存在を信じるとしたら、本という創造物についてのみである。
直立。本棚でも多くがこの姿で納まっており、本たちが人類に見せるもっともポピュラーな姿がこれかもしれない。一見不安定にも見えるが、円城塔の『文字渦』に曰く、文字は天を目指すものだ。直立こそがむしろ文字の自然なあり方であるということを証明するかのように、その姿にはどこか自信が漂っている。